■桜桃(さくらんぼ)の特徴
●「さくらんぼ」という呼び名は、「桜桃(おうとう)」の愛称です。
正式な名称は「西洋実桜(せいようみざくら)」と言います。「桜坊」「さくらんぼう」とも呼ばれます。
●日本では、東北地方、北海道、長野県などが主な産地です。
中でも最も収穫量の多いのは山形県で、日本の生産量全体の7割以上を占めます。
●4月頃白い花を咲かせ、6〜7月に黄赤色や濃赤色の小さな実をつけます。
旬が限られている季節色豊かな果物です。
●さくらんぼは中心にかたい種があるため、あんずやももなどとともに「ストーンフルーツ」と呼ばれます。
これらの果実はみんなバラ科の親戚です。
■桜桃(さくらんぼ)の歴史・由来
●原産地は系統によって異なり、甘果桜桃はアジア西部から南西にかけて、
酸果桜桃は東南アジア、中国桜桃は中国であるとされています。
●栽培の歴史は以外に古く、ヨーロッパでは紀元前から栽培されていました。
また中国では、五経の一つである「礼記」に記述があることから、3000年前には既に栽培されていたことがうかがえます。
●日本には江戸時代初期に中国から入ってきましたが、気候に合わず普及しませんでした。
●現在のさくらんぼのもとになった甘果桜桃が日本に伝わったのは1872〜1875年で、
アメリカやフランスから導入されました。それらの苗木が適地である北海道や東北に配布され、
日本でも独自の品種改良が進められるようになっていったのです。
■桜桃(さくらんぼ)の種類 ●さくらんぼの品種は全世界で1000種を超えると言われています。
●大きくは、
(1)甘果桜桃(かんかおうとう)または西洋実桜(せいようみざくら)
(2)酸果桜桃(さんかおうとう)または西洋酸実桜(せいようすみのみざくら)
(3)中国桜桃または支那実桜(しなのみざくら)
の3系統に分けられます。このうち、日本で栽培されているのはほとんどが甘果桜桃です。
酸果桜桃はほとんど加工用に用いられます。
★細谷青果では下記の3種類のさくらんぼを作っています。
●佐藤錦(さとうにしき)
1912年に「ナポレオン」と「黄玉」が交雑して生まれたと考えられる日本生まれの品種です。
6月中旬から下旬にかけて熟します。形は短心臓形で大きさは中くらい、
果皮の色は黄色地に鮮やかな紅色で「赤いルビー」と呼ばれています。
果肉は乳白色で、果肉、果汁ともに多くて甘みと酸味の調和がすばらしく、品質は国内最高級です。
1990年頃から「ナポレオン」をしのいで生産量も1位となり、
今では名実ともに日本のさくらんぼの代表品種となっています。名前は育成者の佐藤栄助氏にちなんだものです。
●ナポレオン
(別名)ナポレオン・ビガロ(Napoleon Bigarreau)、ロイヤル・アン(Royal Ann)
日本には1872年にアメリカから導入されました。起源は不明ですが栽培歴は長く、
18世紀始めからヨーロッパ諸国で栽培されているという古い品種です。晩生種で、
6月下旬〜7月上旬頃熟します。長めの心臓形の大粒で、果皮は黄色に赤い斑を帯びています。
果肉はややかたく淡い黄色、酸味はやや強いですが、完熟したものは甘くて濃厚な味です。
生食にも加工にも向きます。品種名は、ナポレオンの没後の1821年にベルギー王がナポレオンにちなんで命名したそうです。
明治時代の日本では「那翁」と呼ばれていました。
●南陽(なんよう)
1957年、山形県農業試験場で、ナポレオンが自然交雑したものから選抜して育成した品種です。
6月下旬頃、「佐藤錦」と「ナポレオン」の合間に収穫されます。
形は短心臓形の大粒、果皮は淡紅色、果肉は黄白色でややかためです。
酸味が少なく、とてもあっさりとした食味は極めて良好で、「さくらんぼの王様」と呼ばれることもあるほど高級な品種です。
■桜桃(さくらんぼ)の保存法
●鮮度が落ちやすく、日もちしないので、なるべく早く食べるようにします。
●新鮮なものは、およそ常温で3日間が限度です。
●冷蔵庫に入れる場合は、ラップをかけて水分の蒸発を防ぎます。あまり長く冷蔵庫に入れておくと甘みが飛んでしまいますので、一晩ぐらいにしておきましょう。
■桜桃(さくらんぼ)の栄養・効能
●主成分はブドウ糖などの糖質ですが、カリウム、鉄、リンなどのミネラル成分や、カロチン、ビタミンB1、B2、Cなども少しずつ含まれています。また、酸味は、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸などの有機酸です。アメリカンチェリーの赤い色はポリフェノールの一種アントシアニンなどの色素です。
●国産ものとアメリカンチェリーを比べると、一般的にビタミン類は国産もの、カロリーやミネラルはアメリカ産のものがうわまっています。
●疲労回復に
ミネラルやビタミン成分の量は多くありませんが、バランスよく含んでいるので、疲労回復や食欲増進、血行促進、美肌、疲れ目などに効果があります。
●虫歯の予防
最近のアメリカの研究で、アメリカンチェリーのジュースには、歯垢の形成を阻害して虫歯を予防する成分が含まれている、と報告されています。
●高血圧予防、利尿効果
果実としてはカリウムを比較的多く含みます。カリウムには体内のナトリウムを対外に排出するはたらきがあり、高血圧の予防になるほか、利尿作用も期待できます。
■桜桃(さくらんぼ)の豆知識
●「さくらんぼ」「おうとう」「チェリー」の呼び名について
一般的には、木は「おうとう」、実は「さくらんぼ」、加工されると「チェリー」と使われることが多いようです。学術分野では、木も実も「おうとう(桜桃)」と呼び、「さくらんぼ」とは呼びません。「さくらんぼ」とは収穫された果実が商品化されたもの、「チェリー」は加工品や輸入品の呼称に多く用いられます。なお、辞書では「さくらんぼ」に「桜ん坊」という字が当てられています。小さくかわいい果実にふさわしい呼び名ですね。
●さくらんぼ酒の作り方
一度にたくさんのさくらんぼが手に入ったときはさくらんぼ酒を作ってみませんか。
おいしいし、疲労回復などの薬用酒としての効果もありますよ。
【材料】
・ さくらんぼ1kgに対し、ホワイトリカー1.8リットル、氷砂糖150g〜200g
【手順】
1. びんは熱湯で洗い、完全に乾かしておきます。
2. さくらんぼを水であらって、きれいな布で水分をよくふきとります。
3. さくらんぼと氷砂糖を交互にびんに入れていき、上からホワイトリカーを注ぎこみます。
4. 冷暗所に置いて、砂糖がよく溶けるように時々びんをゆらしてください。3〜6ヶ月後には飲めるようになります。
小さな恋人「さくらんぼ」
●さくらんぼとその歴史
さくらんぼは、別名「桜桃(おうとう)」とも呼ばれますが、本当の名称は、植物学的には「セイヨウミザクラ(西洋実桜)(Prunus
avium)」と言います。「さくらんぼ」と言うのは商品化された通称・愛称なのです。英語では「チェリー」ですので、そう呼ばれている事もあります。
しかし、一般的には、
(1)木や木になっている状態の実を「桜桃」
(2)摘まれた実は「さくらんぼ」
(3)輸入物や缶詰などに加工されると「チェリー」
という風に使われている事が多いようです。
さくらんぼの原産地は、現在のトルコ共和国といわれています。有史以前より、西アジアから鳥などによって種子が運ばれて→ヨーロッパ一帯で野生化したといわれています。そこから大西洋を渡って→アメリカ→太平洋をを渡って→日本に伝来しました。
さくらんぼというと、その名前から桜の木に実がなるように思ったこともありますが、花見をした桜にはあのさくらんぼがなっていないのは知っています。さくらんぼを付けるのは、実桜という種類の木なのです。(桜にも小さな赤い実はなります。)
さくらんぼは、バラ科サクラ属に属し、
・甘い実をつける甘果桜桃(西洋実桜:セイヨウミザクラ)、
・酸っぱい実をつける酸果桜桃(西洋酸実桜:セイヨウスミノザクラ)
のヨーロッパ系2種と、
・中国桜桃(支那実桜:シナノミザクラ)
の東アジア系1種、
合計3種類がさくらんぼの起源とされています。そのうち日本でさくらんぼと言われているのは、甘果桜桃の実のことを言っています。
さくらんぼ
・ Prunus avium L 西洋実桜、甘果桜桃 Cherry,Sweet cherry
・ P.cerasus L 西洋酸実桜、酸果桜桃 Sour cherry
・ P.pauciflora Bunge シナノミザクラ、支那実桜、中国桜桃 Chinese cherry
バラ科の落葉高木。春白い花が咲き、果柄長く、6〜7月に熟して黄・赤・紫黒色。
果肉の甘酸適和した甘果桜桃と、酸味の強い酸果桜桃がある。日本で栽培されるのは甘果系。支那実桜は落葉小高木。果柄やや短い。
甘果桜桃(セイヨウミザクラ)はイラン北部からコーカサスを経てヨーロッパ西部までの山地に広く野生していた原種から、
有史以前に栽培化されていました。
栽培の最初は小アジア辺とする説もあり、またスイスの湖棲民族の遺跡からたねが発掘されるので
その地で栽培化の可能性も考えられます。ギリシャ時代には栽培の記録があります。
酸果桜桃(セイヨウスミノミザクラ)は黒海からイスタンブール辺が原産地と考えられ、
BC65年にルクルス将軍が小アジアのポンツスからローマへもたらしたという話があります。
両種は2〜3世紀にかけてヨーロッパ各地に広まり、とくにドイツ・フランス・イギリスで普及しましたが、
本格的に栽培されるようになったのは16〜17世紀からといいます。新大陸へは17世紀ころの移民が伝えました。
アメリカにはオレゴンやカリフォルニア州に18世紀初期に導入されて栽培が盛んになりました。
日本へは明治時代になってから初めて入りました。
明治6年には勧業寮がフランスやアメリカから甘果桜桃の品種を導入しはじめ、
国内に苗木を配り、山形など梅雨期の短い寒冷地で土着しました。
なお、中国桜桃(シナノミザクラ)は中国原産で中国で発達したものです。
江戸時代から伝来、明治初期の清からも導入され、西日本にわずかに栽培されます。
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